推薦入試を含めると、入試で受験できる回数はそれなりの数に昇ります。合格の可能性を上げるためという理由もありますが、受験生自身が自分の目で周囲とのレベル差を実感できる貴重な機会ですから、いろいろな意味でどん欲に受験する大学を増やすことをおすすめすます。
受験会場で知る現実
各自アトリエなどで他人の絵を見て来たことと思います。通っている年数や指導内容によっては、そのアトリエ内で作品の出来は均質かされやすく、悪い言い方をすれば「受験のデッサンはだいたいこんなレベルか」という認識ができ上がります。
しかし会場で実際に他の受験生の絵を見ると、高い確率であなたは自信をなくすでしょう。明らかにあなたよりも精密なデッサン、豊かな色彩、思いもつかない発想と表現、他にもいろいろな点で打ちのめされると思います。
学科試験であれば、他人の回答欄を見る機会がないので(見たらカンニングですからね)分かりにくいですが、美大の受験では相手の絵が目の前にあり、厳しい現実を突きつけて来ます。
会場で萎縮する必要は無い
あなたが土壇場で素晴らしい力を突然発揮できる、ということでなければ、どのようなものを会場で目にしようと萎縮したり自虐的になる必要はありません。
厳しい言い方になりますが、会場でレベルの差を感じたのであれば、その時点でのあなたの実力が不足しているという事実を表しているに過ぎないのですから。
受験時に突然閃いたことに価値がないわけではありませんが、基本はいままでの練習の積み重ねです。周囲がどういうレベルであろうと、あなたはあなた自身の全力をだすしかありません。
もてる力が不足していると自覚しているのに、萎縮してさらに力を発揮できないようでは合格の可能性が遠のくばかりです。
勝負は1回。開き直って、あなたができることを懸命に、必ず出し切ってください。
会場で技術を盗む
受験時に隣に恐ろしくデッサンのうまい「デッサンの神様」がいたとします。対象は色彩でも着彩でもかまいませんが。
その場合、今は真似できずとも今後自分の武器にできるように技術を盗むことも重要です。
受験合格レベルの技術なのかどうかは実技試験中にわかるわけはありませんが、あなたが惹かれるものがあった場合は積極的に吸収するべきです。
例えばそれが推薦入試であれば、センター入試後の実技試験で活かせるかもしれません。
受験費用は大きな負担ではありますが、得られるものも多いため、積極的な受験をおススメしたいです。受験会場はあくまで合否に関わる試験の場ではあるのですが、あなたが一歩成長できる可能性を秘めた、最後の機会であるとも言えるのです。