美大受験用アトリエの選び方

美大・芸大受験勉強のためのアトリエの選び方

アトリエといっても全国に数多くあります。お住まいの地域によっては選択の余地がまったく無い場合もあるでしょうが、選べるならば以下のような事柄に注意すると良いかもしれません。

アトリエの種類

アトリエには大きく分けて、大手と個人があります。基本的には規模の違いになりますが、これは指導方針や指導方法に大きく影響します。

大手のアトリエ

代々木ゼミナールや河合塾などが全国規模で展開している予備校タイプが大手と言えます。

大手はそれなりに実力のある講師が在籍し、地方でも都市部と同等の質の授業を受けることができる可能性が高いです。

反面、個別指導が弱く、生徒の個性に合わせた細かい指導スケジュールが組めず、効率重視に偏りがちです。また、大手アトリエ出身の生徒は独特のパターンが身に付いてしまいます。見る人が見れば、採点時にどこのアトリエかというのが一発でわかることもあるそうです。

できあがる作品も均質化される傾向にあり、自分でそれなりにあらがわないとその他大勢の中の一人という程度のインパクトしか与えられなくなってしまいます。

一定の高いレベルまではいきやすいですが、その先が詰まりやすいと言えるかもしれません。

ちなみに、大手予備校の合格者数が多いのは当然で、単純に生徒数が多いからです。あまり数字に騙されないように注意しましょう。

個人のアトリエ

個人経営のアトリエで、教室自体も小さく、人数も少ないのが特徴です。それだけに細かく指導をしてくれるため、個性を伸ばす方向で受験合格を目指すことが可能です。

ただ、指導がアトリエごとに偏る傾向もあり、例えば「成安造形大学のデザインに強いが、京都精華大学の絵画には弱い」ということはよくあります。自分の志望校とマッチしていれば心強いですが、そうでない場合は別のアトリエを探したほうが良いかもしれません。

強みである少人数制は弱みでもあり、多くのライバルの作品が目にできないため、刺激が弱く目標となるライバルを見つけることも難しくなります。特にそのアトリエでトップレベルになってしまうと慢心しやすく、結果的に受験で失敗する可能性も高まります。

かみ合えば強いですが、総合的なレベルアップができないリスクも抱えています。

アトリエの選び方

もっとも簡単で確実なのは、実績と講師の大学名です。

合格実績に志望大学の合格者が多いなら、そこに適したアトリエであると言えます。単純ではありますが、それだけに結果重視の有益な判断方法です。

なお、アトリエには社会人講師以外に学生講師がいることが多いのですが、その場合は大抵そのアトリエの出身者です。つまり、学生講師の大学名も合わせて考えれば、より志望大学に適したアトリエを見つけることができるはずです。

大手か個人か

時間や金銭的な余裕があるなら、大手メインで個人で補強というのが良いかもしれません。最低限のレベルに達してから個人に移るなども考えられます。

マニュアル化された指導は弊害もあるのですが、効率重視でないと間に合わない場合もあり、自分の実力に自身が無いのであれば大手が良いと思います。

反対に、基礎はある程度できているならば、没個性を避けて志望校に特化(厳密に言えば志望校に合わせるのではなく、受かるレベルまで自分にすべてを高める)可能な個人を選ぶ方がよいでしょう。

なお、最善は「志望校にあった質の高い個人のアトリエ」だと思います。入学後のことを考えても、マニュアル化されたスキルは害になりやすいので、避けられるなら避けた方が良いからです。

必ず体験授業を受ける

美大受験に限りませんが、必ず体験授業を受けて下さい。その際、周囲を見舞わしてどのような指導が行われているかをしっかりと確認するようにしましょう。

体験授業中におかしなことが起こることはまずありえませんが、必要なことが起こらない可能性はあります。たとえば、褒めてばかりで厳しい指導がなかったり、講師自身が生徒の絵に手を加えるような講師の実力が伺い知れる指導が無い場合です。

美大受験の指導は座学とは違いますから、積極的に情報を取りにいかねばなりません。体験授業後に授業を観察する時間を要求するぐらいでも良いと思いますので、しっかりチェックしましょう。