基礎練習は体に技術を叩き込む行為です。
サボれば衰え、勤勉に励めば血肉となります。
地道な努力がなければ安定した力は出せませんから、手を抜かず、時間を見つけては日々の練習を継続しましょう。
美術大学や芸術大学の受験で最も基本的なテストは鉛筆デッサンですので、ここでは鉛筆デッサンについて記載しています。
デッサンでは鉛筆による濃淡で「立体感」「質感」「雰囲気」などを表現できなければいけません。
鉛筆を知る
基本的な道具である鉛筆のことを知ります。
頭で、というよりは体に感覚として覚え込ませる必要があります。
B5は柔らかくHは薄い、というような知識では役に立ちません。
「ここを描くにはB3で、あそこはHだ」ぐらいことを即時決められるレベルが好ましいです。
なにせ、受験デッサンは時間が決まっているので、鉛筆の選択で悩む余裕はないのですから。
紙を知る
鉛筆を走らせる紙の特性について知りましょう。
デッサンはでは「鉛筆を入れない部分」も重要になりますから、クオリティを上げるためには紙の扱いについても学ばなければなりません。
消しゴムを使う
デッサンにおいては、鉛筆と同等に消しゴムが大きな力をもっています。
消しゴムを使いこなせばより多彩な表現が可能です。
画板について知る
カルトンともいいますが、画板はデッサンでは大切な道具です。
イーゼルや机の有無にかかわらず使う可能性があるため、早いうちに慣れておきましょう。
線を引く
鉛筆デッサンの基礎であり、かつ最重要な点は、思い通りの線を引けるようになることです。
緩急はもとより、自分の腕だけで曲線や直線をしっかり引ける必要があります。
これができないといつまでもふにゃふにゃした頼りない作品しかつくれません。
グラデーションを作って使う
グラデーションの幅は、デッサンの表現の幅に直結します。
観察眼を養うことにもつながり、色彩や着彩にも大きく影響があります。
文字を描く
受験デッサンではモチーフの表面に文字が存在する場合があります。
デザイン学科志望の方は特にしっかりと文字の描き方を学んでください。
輪郭線を理解する
基礎というよりも完成図なのですが、完成図を意識して基礎を学んだ方が断然理解が早まります。
最初のうちは輪郭線は重要なのですが、この輪郭線というもを早めに理解しておきましょう。
参考図書
自宅練習では切磋琢磨する相手がおらず、低いレベルで練習を繰り返す危険性があります。
そこで、自宅でも目標となる合格レベルの絵や、合格レベルで描ける技術を参照できるように、本を活用することが有益です。
注意点
基礎練習全般に言えることですが、注意しなければならない点があります。
技術は上昇よりも下降速度の方が速い
人間ですので数日サボることはあるかもしれませんが、できるだけ早く復帰してください。
スポーツと同様に、体に覚え込ませて磨く技術はすぐに衰えます。
スポーツ選手が走り込みや筋トレをやめないように、美大受験生は描くことをやめてはいけません。
休む時は休む
もちろん「休む」ことは重要です。
視野が広がれば、絵には様々な良い効果が現れますから、遊ぶ時はしっかり遊んで、場合によっては絵のことは忘れてもかまいません。
色々なことを経験し、その経験を記憶や身体に取り込んでください。
それは受験に限らず、将来あなたの役に立つ重要な要素となるはずです。
基礎練習だけに固執しない
基礎練習はあくまで「基礎」であって、この練習で身に付けた技術のみで合格することは非常に困難です。
そのため基礎練習に時間をかけすぎても、基礎練習が上手くいったと満足してもだめです。
ある程度直線が引けるようになれば、それは当然デッサンにも現れてきますから、デッサンという実戦時に基礎練習が補強可能です。
基礎の反復練習には劣りますが、デッサン時に意識して基礎練習の補強を行えば、技術の下降速度はなかり抑えられます。
あとは週か月に何回という感じで基礎の反復練習をすれば、受験までであればまず問題なく技術は衰えずに向上するはずです。