完成度を上げるためにも紙を汚さない方法を学びましょう。

鉛筆デッサンにおいて、ハイライトとなり得るもっとも明るい色は「紙の白」です。

消しゴムである程度の「白」は作成可能ですが、鉛筆がのっていたり手でこすれたりしていると、くすんだグレーになってしまいます。

そのため、鉛筆デッサン時に背景を白にしたい場合は、背景部分を汚すことは取り返しがつかない問題になり得ます。

消しゴムで回復可能な場合ももちろんありますが、できるだけ汚さないように気をつけるのが、効率的かつ効果的な方法であり、デッサンの技術です。

手の汚れ

紙が汚れる最大の原因は、以下の通りです。

  • 手の汗や皮脂で汚れる
  • 手で鉛筆の粉をこすって汚れる

つまり、自分の手が、自分の絵を、無意識に汚してダメにしていくのです。

個人個人で多少の差はありますが、手による汚れを避ける為に以下の方法を試してみるとよいでしょう。

  • ハンカチを手の下に敷く
  • 紙を手の下に敷く
  • 手袋をする

ハンカチを手の下に敷く

同じアトリエや受験会場で最多(に見えました)なのが、ハンカチやハンドタオルなどの布を手の下に敷く方法です。

手を汚さず、絵も汚さない優れた方法です。

注意点は、決してハンカチをこするように動かさないこと。

無意識に滑らせて位置をずらしてしまうことがあるので、この点は注意してください。

擦筆とはいいませんが、鉛筆をこすって紙に刷り込んでしまいますし、汚れを広げる原因になります。

紙を手の下に敷く

ハンカチなどの布がない場合は、手持ちのクロッキー帳やノートの紙を破ってある程度の厚みと大きさに折り畳んで使います。

紙の表面の状態によってはハンカチよりも滑りやすいので、絵をこすらないように注意してください。

手袋をする

かつて数人だけ実行している人を見ましたが、白い手袋をつけて描く方法もあります。

手袋なのでまず手の皮脂が紙に付くことはありませんから、その意味では完全な対策と言えます。

しかし、当然手袋も汚れてくるので、替えが必要になります。

現実的には、多少は折り返したりできるハンカチの方が使いやすいでしょう。

鉛筆の粉

皮脂による汚れとの相乗効果が怖い、鉛筆の粉。

鉛筆の粉による汚れは、鉛筆でデッサンをする以上必ず発生します。

この鉛筆の粉を紙の白に影響を与えることなく、どれだけ奇麗かつ安全に排除できるかもデッサンでは重要な技術です。

方法としては、以下のものが考えられます。

  • 叩いて落とす
  • 団扇などで仰ぐ
  • 羽根箒を使う

叩いて落とす

原始的ですが、画板の裏から画板ごと叩いて粉を落とします。

基本的に絵には触れませんから、最も安全な方法だと思います。

ただ、周囲の人の迷惑になりやすいので、その点は注意しましょう。

試験会場でいきなり画板を叩きだせば、普通は驚きますし、音の大きさによっては試験妨害と、みなされるかもしれません。

団扇などで仰ぐ

叩くの同じく、絵をなるべく傷つけずに鉛筆の粉を落とせるのが団扇などで風をおこし、吹き飛ばす方法です。

風がおこせれば何でもいいので、プラスチックの下敷きでも良いでしょう。

同じ風でも、息を吹きかけるのはやめた方が良いです。

大抵は唾が飛んで汚れの原因になります。

唾は目に見えない大きさで飛散するため気づきにくいですが、「息を吹きかける=唾を吹きかける」ぐらいに思っておいた方が良いです。

羽根箒を使う

画材屋で購入できる羽根箒を使って鉛筆の粉を落とします。

慣れるまでは難しいのですが、羽根箒を上手く使えば鉛筆の粉が落とせます。

慣れないうちは絵をこすりやすく、最悪の事態では羽根箒で軌跡のような線を引くことになります。

使用には注意してください。

消しゴムのかけ過ぎ

消しゴムを使うと紙が荒れますので、汚れに繋がります。

荒れている部分は汚く見える可能性がありますし、荒れた表面には鉛筆がのりづらくなります。

鉛筆デッサンですから、鉛筆を全く消さないという手段はなかなか選べません。

となると、道具の使い方が重要になります。

消しゴムの使い方

基本は、線の色や強さに応じて消しゴムの掛け方をかえることです。

薄く細い線を消す際に、力を入れて消す必要はありませんよね。

ねり消しゴムであれば、硬さの問題でそれほど力が入れられませんから、基本はねり消しゴムで軽めにこするのが良いでしょう。

それなりに線を重ねた所を消す際には、プラスチック消しゴムを必要最小限の大きさで用います。

カッターで小さめに切ったり、尖らせたりしても良いでしょう。

鉛筆の使い方

実は、消しゴム以上に重要なのが鉛筆の筆圧です。

デッサンの初期から終盤にいたるまで、できるだけ軽く線を引きます。

仮に、暗くしたいからといって字を書くように強く線を引くと、紙が凹み、鉛筆の粉が強く刷り込まれ、元に戻せなくなってしまうためです。

また、紙にできたへこみそれ自体が素人の絵や未熟な絵に見えやすく、絵の完成度を下げてしまいます。

デッサン用の鉛筆の持ち方で、軽く鉛筆の粉をのせるようにするのがおすすめです。

デッサン終盤、細部の描写時に「ここはビシッと決める!」というポイントに来た時に、ある程度力を入れて描くのが効率的で効果的です。

紙の裏もなるべく汚さない

デッサン終了時に、裏側に鉛筆の粉がついている場合は可能ならば取除きましょう。

裏に鉛筆の粉がついていると、回収時に他の人の作品を汚してしまうためです。

こう書くと「裏を汚せば他の受験生を妨害できるのでは?」と悪質なことを考えるかもしれませんが、自分がされる可能性も高まるだけです。

また、ある絵が妙な汚れ方をしている場合は、その前後の絵の裏を確認される可能性が高く、不正が見つかれば妨害行為として罰を受けるかもしれません。

なにより、そんなことをしなければ受からない技術レベルなら、美大でやっていけないので進学は諦めましょう。