鉛筆や消しゴムのように絵を描く道具ではありませんが、デッサンにおいては非常に重要な道具があります。
それが画板(筆者は「カルトン」という言い方をしていました)です。
ある意味では画板がないと非常に不利になりますので、鉛筆消しゴムと同様に慣れておきましょう。
画板とは何か
画板(がばん)とは何かと言えば、画用紙の下に敷く下敷きのようなものだと言えます。
椅子と画板とモチーフが置かれた机があった場合ですが、以下のようにして使います。
- 椅子に座り、画板を膝の上に立てる。
- 画板の上端付近を机に載せるようにして、斜めに立て掛ける。
- 画板の上に画用紙を置く。
単純な話で、画用紙を空中に浮かべたり、膝の上に直接置いてデッサンすることはできませんから、堅くて平たい板を下に用意しようと言うことです。
離れて絵を確認する時に利用
デッサン中は意識が細部に集中しやすく、それなりに頻繁に離れて絵を確認する必要があります。
机や床の上に置いて離れて見ても意味が無いので(脚立で上から見下ろすなら別ですが)、基本的には壁やイーゼルに立てかけます。
そういう時に紙だけではヘタって経ちませんので、画板に載せたまま立てかけることで確認しやすい状況を作ることができます。
目線と画板平面の関係
画板を使う際には、画板の平面と目線はできるだけ垂直に交わるように調整してください。
画板を寝かせすぎたり、立てすぎたりすると、画用紙にパース(奥行きによる歪み)がついてしまい、モチーフの形が正確に描けなくなってしまうためです。
常に正しい位置を保つというのは難しいので、こまめに気をつけて正しい位置でみるようにしましょう。
洗濯バサミや金属クリップで画用紙を固定する
ハンカチやティシュを画用紙との間に挟む前提になりますが、画板を紙を洗濯バサミなどで留める人もいます。
画用紙が固定されるので、画用紙が意図せず上下左右にずれるのを防ぐことが可能です。
ただ、画用紙は上下左右や右回り左回りに回転させたりといろいろ動かすことが多いので、メリットだけではないとも思いますが。
立体作品制作でも使える
学科や試験内容にもよりますが、画用紙などを使った立体作品が課題となる場合もあります。
この場合カッターで画用紙を切る作業が必要となりますので、画板下にしていて台紙代わりにすることもあります。
画板表面はなるべく傷つけない方がよいですが、小さな傷であればそこまで神経質になる必要もないので、多少のカッター跡は問題ありません。
なお、立体制作の場合はさすがに机が用意されるはずですので、ゴム板やカッティングシートを用意した方が懸命だとは思いますが。
おすすめの画板
画板にはいくつか種類がありますが、筆者が実際に使っていた画板を2つ紹介します。
最初の「マルマン 中判 スチューデントカルトン PF901」は、内部が袋状になる構造で、作品を入れて持ち運び出来る点が優れています。
反面、作品を入れすぎると袋上のパーツがついた側が湾曲しやすく、画板としては片面しか使えません。
2つめの「マルマン 中判 カルトン(ダブル) PF903」は、単に画板が2つ紐で繋がった状態になっています。
両面が画板として使える反面、スチューデントカルトン違い袋状の抑えがないため、画板同士をつなぐ紐をほどくと散らばってしまいます 。
どちらもデッサン時の鉛筆の圧力などに耐えるには十分な強度はありますから、その意味ではどちらを選んでも同じです。
画板選びのポイント
既に少し触れていますが、画板選びのポイントは以下の通りです。
- 剛性(多少の力が入っても曲がらない堅さ)
- 重量(軽い方が疲れず良い)
- 耐久性(湿気や時間経過による劣化や変形がないほうが良い)
材質を考えると多少の変形や湾曲は出てしまいますので、その点がどうしようもない点は理解しておいてください。
当然ですが、堅いと言っても金属ではないので体重をかければ折れます。扱いにも注意していください。
これが正しいポイントだとは言いませんが、大事に使えば10年以上保ちます(筆者のカルトンは実際に10年を越えています)。
まとめ
画板を使って描くこと自体に慣れるのが第一です。
試験会場の状態にもよりますが、机もイーゼルもない場合は片手で画板を支えながら描かねばならない可能性もあります。
画板が使えなければ大きな不利になりますから、事前にいろいろと試しておくようにしましょう。