輪郭線とは何かを理解してデッサンに活かしましょう

デッサンに限らず、具体的な形のあるものを描く場合には、輪郭線を頼りに描く場合が多くあります。

輪郭線について理解しているかしていないかでデッサンの質が変わりますから、しっかりと理解しておきましょう。

輪郭線は存在しない

ほぼ結論なのですが、以下が要点です。

  • 物体には輪郭線は存在しない
  • 存在するのは物体の「端」や「境目」

私達が生きている世界は3次元ですが、3次元では物体は立体であるため、2次元のような輪郭線は存在しません。

あるのは「1方向から見た際の物体の端」や「物体と空間の境目」です。

デッサンにおける輪郭線

3次元に輪郭線は存在しないとはいいましたが、絵は2次元ですから表現として輪郭線は利用する必要があります。

こうなると輪郭線について考えるなど無駄に思えるかもしれませんが...。

3次元を2次元の紙に置き換える鉛筆デッサンにおいて、この「輪郭線」と「物体の端」の理解は非常に重要です。

デッサン時に形をとるためのその線は、単なる2次元的な線ではなく、以下のような多くのものが含まれていると理解できるようになるからです。

  • 輪郭線は物体の奥行きを表す
  • 輪郭線は物体の内部と外部の境目を表す
  • 輪郭線は物体と空間の境目を表す
  • 輪郭線は物体の表面を表す

鉛筆デッサンの試験で求められている写実的な表現というのは、上記を満たすような絵である場合が多いはずです。

例えば、リンゴが課題の場合は「リンゴの絵」デッサン」ではなく、あくまで「リンゴ」のデッサンでなければなりません。

線に逃げていては、合格は難しいので「輪郭線に頼らない表現」を学びましょう。

輪郭線に頼らない表現

「輪郭線に頼らない表現」とは、極端に言えば「色」を主軸に考えることです。

鉛筆と消しゴムしか使えない以上、使えるのは色の変化しかないのですから。

ここで重要なのは、何を色で何を表現するか、です。

ヒントは、「光」を観察することです。

物体の端は表情豊かで、多くの情報を伝えてくれます。

「厚み」「平面の集合」「曲面」「素材感」などの端や境目だからこそ見える情報を見つけ、そのなかから必要な情報を選びだし、表現してください。

端をしっかりと表現する努力を続ければ、あなたのデッサン力は飛躍的に向上できるはずです。

表現の例

PCにペンタブレットで描いているのでフリーハンドが難しいのですが、例を作成しましたので以下に掲載します。

いろいろ悪い点が多いのですが、輪郭線がない絵のイメージが多少はつかめるかと思います。

輪郭線と構造線

デッサン例

上記は、輪郭をとり構造線だけで描いたものです。

構造線は面の方向を表現する際に有効ですから、鑑賞者に強く印象づけたい面の方向を意識して線を引きましょう。

なお、この時の線を間違うと次に示す絵のように失敗しやすくなります。

時間の関係もありますが、無駄なくデッサンしたい場合は構造線の質に注意しましょう。

面を表現する

デッサン例

最初の構造線が荒く、かつその上から描いている線に硬質感が足りないためぼやっとしてしまいましたが、輪郭線のない絵のイメージとしては概ねこのような形です。

言葉で表現するなら、「面を表現する」というところでしょうか。

面の端を表現できれば、絵の上で空間と物体を分けて描けるはずです。

なお、この絵は時間の都合上、上面にはほとんど手を加えていません。

練習の初期においては、物体の基本の一つである立方体からはじめる方が良いので、テッシュやお菓子の箱など、大きさや奥行きが違う立方体を用意して練習しましょう。

立方体の表現ができるようになったら、テッシュを上に引き出すなど変化をつけて描いてください。

更に進む場合は、以下の事柄にも留意してみてください。

  • 質感
  • 堅さや柔らかさ
  • 重量
  • 温度

ティッシュの箱に関して言えば、箱は冷たく堅くやや重みがあるのに対して、引き出したティッシュは柔らかく軽く冷たくないはずです。

最終的にはこの差を鉛筆と消しゴムで表現できる必要があります。

大変なことではありますが、合格したいならこの辺りを目指してください。