実際にデッサンで使える線を引きましょう。

デッサンでは文字を書く時とは違う鉛筆の持ち方が基本となります。

これにはしっかりとした理由があります。

もしもあなたが、文字を書くようにしか鉛筆を持てないならば、絵のレベル向上は難しくなるでしょう。

デッサンでは軽い線を基本にする

既に他のページで紹介していますが、簡単に鉛筆の持ち方を復習します。

白紙の状態からある最後までベースとなるのは、机に鉛筆を置き、それ指でつまみ上げるような持ち方です。

この持ち方ですと力が入りにくいため、軽やかな線がや塗りを行うことが可能です。

細部を書き込む場合は、文字を書く際の持ち方で箸を持つように鉛筆を握りますが、この時も力を入れすぎず軽く軽くと意識して持ちます。

軽く持てば伸びやかなストロークが引ける

デッサンの線はただの線ではなく、面の凹凸(おうとつ)や質感を表現するために用いられます。

構造的な表現を行う場合、特に長く伸びやかなストロークが必要とされています。

鉛筆を軽く持つことで、自然に手首や肘、肩なども柔らかく動かすことが可能となり、長いストロークの線を、腕や身体全体で引くことができます。

線を引く際のイメージ

腕や身体がすべて連動して、滑らかに動くようなイメージです。

イメージしにくい方は、以下を試してみてください。

  • 利き腕の上腕や前腕や肘を反対の手でしっかり握って線を引く
  • 身体の状態を一切動かさず、肩から先だけで線を引く

身体の一部を固定しただけで、恐らく線が引くにくくなるはずです。

仮に手首すら自在に動かせない場合は、強ばった短い線しか引けません。

これはこれで表現的に必要な場面もあるのですが、この表現しかできないのでは話になりません。

大きな球体をデッサンする場合

例えば、サッカーボールをデッサンする場合を考えてみてください。

hなどの硬い鉛筆を用い、早いスピードで長いストロークを引きますよね。

鉛筆の持ち方を間違えると、こういう線が引けなくなります。

紙の傷みを軽減する

パソコンのイラスト作成ソフトで描くのとは違い、デッサンを描くための紙は描けば描く程傷んでいきます。

消しゴムは鉛筆よりも更に強い傷みをもたらします。

鉛筆デッサンを「奇麗に仕上げる」ためには、この「紙の傷み」をできる限り軽くしなくてはなりません。

では、紙の傷みをどうすれば軽減できるのかと言えば、基本は鉛筆の使い方です。

できるだけ軽く線を引き、紙を凹ませず、最小限の摩擦で消しゴムを使えるようにします。

こうすることで、紙の傷みを最小限に抑えつつ、デッサンを描き進めることが可能です。

細部はしっかり持って力強い線を引く

細部、例えばガラスコップの底面の反射や陰を描く場合などは、力を入れて紙に黒を刻み込む必要があります。

この場合は文字を書く時のような持ち方で、短いストロークを多用しつつ細部をカリカリと詰めていきます。

当然紙は傷みますから、失敗は許されません。

だからこそ、細部を描く際に全体を描き進めてバランスの崩れを防止する必要があるのです。

いきなり細部を描くと、モチーフを紙の中心に配置することすら困難になります。

細部を線の堅さで締める

軽く持った鉛筆の表現だけでは、絵は軽く弱々しいものになりやすいのが現実です。

少なくとも、重さの表現は難しくなります。

そこで、光沢や陰影など細部をカッチリ鋭く色濃く描くことで、ふわっとしていたデッサンを引き締める必要があるわけです。

もちろんモチーフにもよるのですが、「存在感が薄い」「重さが感じられない」「インパクトがない」という講評を受けた方は、おそらくこの細部の引き締めが足りていません。

書き込む場所や手法に自信があるのなら(受験時には自信を持っていなければなりませんが)、遠慮せずに線を用いながら細部を描き込んでみてください。

まずは過剰にやり過ぎてみる

最初はやり過ぎぐらいで構いません。

おっかなびっくり進むよりは、行き過ぎて戻る方が効率よく技術を取得できます。

なによりも本番ではないのですから、いろいろ試さずにいることはマイナスです。

しっかりと自分の身体に覚え込ませてください。